ダリアは北半球の北緯35度以上の地域で咲く花です。原産はアラビア海周辺で、紀元前4世紀前後で栄えたエジプト文明時代は王族の花として愛でられており高貴な身分の者しかその栽培を許されていなかったほどです。クレオパトラもこのダリアを好んでいた一人で、風呂の花弁を浮かべたり口紅の香料にも用いていたと文献に記されています。1600年の大航海時代ではアラビア諸国では交易品としてダリアを輸出しており、中南米地域にも伝わっていきました。

日本には1700年代の江戸時代中期に伝わり、オランダの花として当初は扱われていました。現在の東京都港区に存在した小石川療養所の薬草園でダリアの栽培がなされ、主に薬草という形で使用されていたものです。ダリアの球根には解毒作用があり、この効能を生かした生薬という形で利用されるのが一般的でした。現在では鑑賞用の花で人気を博しており、夏を代表する観葉植物になっています。ダリアの花言葉は「純愛」となっていて、6月から8月の間に催される結婚式では花嫁のブーケに採用される代表花です。日本で普及しているものは西洋ダリアで、直径約20cmの大振りの多重花弁を持つ可憐な品種になっているのが特徴です。